ある産業機器販売業での話。
コンサルティングを開始するにあたり、役員はじめ主要メンバーにインタビューを行ったところ、
このような構図が見えてきた。
1.トップ2人(社長と専務)は営業の経験がなかったが、営業会議には出席していた。
2.会議では、専務がいろいろツッコんでいくのだが、重箱の隅をつつく感じであり、
ピントがずれている。
そのため、業績を上げるためのアドバイスにはなっておらず、
むしろ、営業メンバーのモチベーションダウンの要因になっている。
3.社長はそんな専務のマネジメントを信頼しきっている。
4.トップ2人は、営業メンバーの意見を聞く耳を持っていない
さて、問題は
間違ったマネジメントをしており、さらにそれをトップ(社長)が賞賛している
点である。
専務がちゃんとマネジメントするか、あるいは社長が専務のマネジメントが間違っている点に気付けばいいのだが、
残念ながら2人とも営業経験がなく、マネジメントについてもしっかりと学んだことがなかった。
先ほど「マネジメントのピントがずれている」と書いたが、もう少し具体的に書くと
「見積書は手書きじゃなくてちゃんとパソコンで作っているんだろうな?」
「商品群Aに比べて、商品群Bの販売数量が少ない、もっと増やせ」
「この報告書、文章量が少ない。もっと書け」
数字からみた状況を書かないとピンとこないかもしれないが、
「全く間違っているわけではないけど、業績を上げるために打つべき対策の優先度としては下の下」
ということである。
ボーリングに例えると「ヘッドピンに当てるどうか」と同じことだ。
ボーリングのヘッドピンとは、一番手前にあるピンのことで、そこにぶつければ、
ストライクをとれる保証はないが、7割くらいのピンは倒れてくれる。
逆に、端っこのピンを狙っても、1~2本しか倒れない。
営業管理に限らず、業績のマネジメントのピントも同じことで
「この対策を打てば全ての課題はクリアできないが、業績向上は大きく期待できる」
というポイントを重点にマネジメントしなければならない。
例外はあるものの、基本的にマネジメントにおいて「重箱の隅をつつく」のはよいことではない。
SFA・CRM、Excelの活用で、あらゆる状況を数字でつかむことが容易になってきているが、
どの数字にピントを合わせるべきか、よく考えよう。