戦線#32 それを売る意義

ある雑貨商社でこんなことがあった。

新しい取扱い商材を販売するにあたり、1人の販売推進責任者を指名した。

その人だけが営業活動をするわけではないのだが、

営業ツールの整備、売り方の研究などを率先して行い、他の営業メンバーにもノウハウを展開するなどのことが期待された。

その商材は、詳しくは書かないが「健康を増進する作用があるもの」なのだが、

世間ではその効用について疑問視する声も少なくなかった。

(私自身の考えとしては、「効果はゼロではないが弱いため、つまるところ気の持ち方によってしまう」ということだと思う)

さて、前述のとおり、社長がある営業担当者に販売推進責任者を指名したところ

「そんな怪しいものは売れません」

と拒否された。

「いや、売ってこい」「いやです」「売ってこい」・・・

もめにもめた末、その営業担当者は退職に追い込まれてしまった。

その社長にも社員にも少なからず問題があったのであろうし、

普段から小さな問題が積み重なっていたのだろうと思うが、

ここでは「それを売る意義を伝える」というポイントから解説しよう。

まずは、会社として、それを売る意義。

これまでとは分野が異なるようなものを販売していくには「それを売る意義」を理解させねばならない。

きっと何かしら会社としての戦略的な意図があるはずだ。

例えば、以下のようなことが考えられる

・新たな販路開拓のきっかけとなりうる

・既存顧客に、利益率の高い商品を提供できる

・現状は売り切りの商品がメインだが、リピート購入が期待できる

・利益率の高い健康関連を増やしていくにあたって販売ノウハウを蓄積する第1歩

これを知っているのと知らないとでは、モチベーションも変わってくるだろう。

また、ここで挙げた例のように否定的な見方ものあるものの場合は、会社としての見解をはっきりさせておく必要もあるだろう。

(法的に、あるいは道義的におかしなものは論外だが)

さらには、どれくらいの力をかけて販売するのかも示すべきだろう。

新しく販売しようとするものが、従来の商品・サービスと比較して商品力・利益率が大きく上がらない限りは、

従来のものを売る方が楽なので、何も指定しなければ目標数字を従来のもので埋めようとなってしまう。

営業活動時間という重要な営業の資源配分と、それを売る意義。

この2つは新分野の商品・サービスを販売していくにあたり、必ず担当者に伝達しておくべきだ。

「しあわせ企業づくり」のシステム屋、ハートビートシステムズ