カテゴリー別アーカイブ: 営業戦線

戦線#34 開拓意識

チャンスあらば、新規顧客開拓、既存顧客に新規商材販売をしかける。

与信の問題はさておき、当然の意識である。

さて、この記事を見ているあなたが経営者あるいは営業管理者だとすると、部下の方々は本当にこのような意識を持っているだろうか?

「え?どういう意味!?当たり前のことでしょ」

と思ったかもしれない。

つまり、このような意識が経営者、営業管理者が思っているよりはるかに低い可能性もあるのだ。

以前、ある中小企業の商社の営業担当者に同行させていただいたときのこと。

ショッピングセンターの駐車場に商用車を止め、その日は春の陽気が気持ち良く、以降の営業活動の流れを車の外で確認していた。

そこへ社用車を見た中年女性が近付いてきた。

「●●(会社名)さん、今▲▲持ってる?」

すると営業担当は

「ないんです。すみません」

と応対していた。

それを傍で見ていた自分は、てっきり近所で商売をされているお得意さんと遭遇したのだと思った。

しかし、営業担当に話を聞くと「知らない人」とのこと。

それを聞いて愕然とした。

通常、新規開拓は飛び込みをやったりと、ある程度の苦労がつきものだが、

このケースはチャンスが向こうから舞い込んできたのに。

せめて「後でうかがいますので、ご連絡先を・・・」とでもすればいいのに。

もしかしたら与信の問題があるのかもしれないが、その時点では攻めるべきであり

非常にもったいないと思った。

さて、要するに本人の営業意識が低いわけだが、本人のみに問題があるとは言い切れない。

意識を醸成するのは本人自身だけでなく、会社がつくり出した営業活動を行うための環境もあるからだ。

例えば以下のようなことである。

・開拓をしてもしなくても処遇に大きな差がつかない

・開拓をしても賞賛されない

・開拓のプラス評価より、焦げ付きなどのマイナス評価の方が大きい

一度自社の営業活動を行うための環境を見直してみよう。

「しあわせ企業づくり」のシステム屋、ハートビートシステムズ


戦線#32 それを売る意義

ある雑貨商社でこんなことがあった。

新しい取扱い商材を販売するにあたり、1人の販売推進責任者を指名した。

その人だけが営業活動をするわけではないのだが、

営業ツールの整備、売り方の研究などを率先して行い、他の営業メンバーにもノウハウを展開するなどのことが期待された。

その商材は、詳しくは書かないが「健康を増進する作用があるもの」なのだが、

世間ではその効用について疑問視する声も少なくなかった。

(私自身の考えとしては、「効果はゼロではないが弱いため、つまるところ気の持ち方によってしまう」ということだと思う)

さて、前述のとおり、社長がある営業担当者に販売推進責任者を指名したところ

「そんな怪しいものは売れません」

と拒否された。

「いや、売ってこい」「いやです」「売ってこい」・・・

もめにもめた末、その営業担当者は退職に追い込まれてしまった。

その社長にも社員にも少なからず問題があったのであろうし、

普段から小さな問題が積み重なっていたのだろうと思うが、

ここでは「それを売る意義を伝える」というポイントから解説しよう。

まずは、会社として、それを売る意義。

これまでとは分野が異なるようなものを販売していくには「それを売る意義」を理解させねばならない。

きっと何かしら会社としての戦略的な意図があるはずだ。

例えば、以下のようなことが考えられる

・新たな販路開拓のきっかけとなりうる

・既存顧客に、利益率の高い商品を提供できる

・現状は売り切りの商品がメインだが、リピート購入が期待できる

・利益率の高い健康関連を増やしていくにあたって販売ノウハウを蓄積する第1歩

これを知っているのと知らないとでは、モチベーションも変わってくるだろう。

また、ここで挙げた例のように否定的な見方ものあるものの場合は、会社としての見解をはっきりさせておく必要もあるだろう。

(法的に、あるいは道義的におかしなものは論外だが)

さらには、どれくらいの力をかけて販売するのかも示すべきだろう。

新しく販売しようとするものが、従来の商品・サービスと比較して商品力・利益率が大きく上がらない限りは、

従来のものを売る方が楽なので、何も指定しなければ目標数字を従来のもので埋めようとなってしまう。

営業活動時間という重要な営業の資源配分と、それを売る意義。

この2つは新分野の商品・サービスを販売していくにあたり、必ず担当者に伝達しておくべきだ。

「しあわせ企業づくり」のシステム屋、ハートビートシステムズ

戦線#31 他社の良い事例を簡単にパクっていいものか?

社員数約60人のとある会社では、がんばって月間の営業成績が一番になると、ご褒美が出る仕組みだった。

そのご褒美とは「社長と1対1でランチ」

なぜそのようなご褒美が設定されたかと言うと、同様の制度を取り入れている会社の事例を社長がビジネス雑誌で見て、

「これはいい制度だ!きっと社員も喜ぶに違いない!」

とばかりに導入したらしい。

ところが、営業の方々にこの件について意見を求めると

「1番になってしまうと、社長とランチしないといけないので、できれば1番は避けたい」

との意見ばかりだった。

本来、ご褒美というものを少し科学的に考えると、

 「ある行動を促進するための動機づけ」

である。

そのためには、当然ながらご褒美は対象者にとって魅力的なものでなければならない。

しかし、このケースではご褒美はむしろもらわない方がよく、

ご褒美がある行動(ここでは営業成績を上げる行動)をむしろ抑制する方向に作用してしまっていたわけだ。

他社の良いと思った経営のやり方を盗む。これはいいことだと思う。

しかし、そのやり方が自社でも成果が出る保証はない。

このケースの場合は

 雑誌の事例の会社とは異なり、社長とのランチが社員から見て魅力的ではなかった

ために、成果につながっていなかったのだが、似たような事例は多い。

「他社で成果が出ていてマネしたが自社では成果が出ない」というケースの多くは「管理の仕組み」に関することであり、

中でも処遇に関することが多いように感じる。

よい点は盗む。

基本的にはいいことなのだが、それを自社に取り入れる前に一度立ち止まって考えてみた方がいい。

やり方を変えるということは、社員の行動も少なからず変わるということ。

おかしなやり方をすると社員も困惑してしまう。

できれば複数人で検討する。

このケースの場合は社長が独断で取り入れた制度だったが、もし制度の導入可否を社内で話し合っていたとしても

誰も「だれも社長とのランチなんか望んでませんよ」とは言い出せなかったであろうけど・・・。

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戦線#30 What’s Newのチェック

今回の話は、自分自身の失敗談だ。

ある日、これまで取引のなかった会社からお問合せをいただき、訪問してPRさせていただくこととなった。

もちろん、事前にその会社のホームページについていろいろチェックした。

どのような提案をするか。

その会社の業種、取扱い商品、社員数、組織形態、拠点配置などをチェックし、

提案内容をあれこれ考える。

どんな事例を紹介するか。どこにPRの力点を置くのか。etc

それに合わせて持参物を考える。

ネット上の地図で会社の場所も確認し、時間に余裕を持って向かう。

さて、いざ行ってみたところ、それらしき会社がない。

建設中のビルがあり、工事の案内板を見ると「○○ビル建設工事」(○○は先方の会社名)とある。

・・・え!?

あわててスマートフォンで先方の会社のサイトを開き「What’s New」を見ると、

「本社ビル建て替えのため、一時的に本社を移転」

と書いてある。

そのエリアは自分のあまり詳しくないところなので、住所を見ても具体的な場所はイメージできないが、

タクシーに乗れば遅刻しないくらいの距離の場所であることはわかった。

すぐさまタクシーを捕まえ、運転手さんに移転先の住所を見せ、何とか約束の5分前に到着することができた。

反省点としては、もちろんホームページの「What’s New」を見ていなかったことだ。

結果的には時間に余裕を持たせて行動していたことが功を奏してノーダメージだったが、

もしかしたら「What’s New」にはもっと商談前の雑談を膨らます材料があったかもしれない。

それに、本社移転以外にも重要な情報が記載されていたかもしれない。

自分は先方のホームページから、提案に必要な情報のみを得ようとしていたが、やはり新着情報くらいはしっかりとチェックしておくべきだった。

提案させていただくのならば、ホームページで公開されている情報くらいは勉強しておくのがスジであろうし。

「しあわせ企業づくり」のシステム屋、ハートビートシステムズ

戦線#29 Webサイトからの引き合い

ある会社では以前から、Webサイトの申込みフォームから資料請求などを受けられるようになっている。

画面上で必要事項を入力してボタンを押すと、入力内容がメールにて会社の専用アドレスに通知されるという、ごく一般的な仕組みだ。

Webによる引合の獲得は、よほど力を入れない限りは大きな成果は期待はできないが、

おそろかにしてもよくない。

Webサイトは24時間365日、無給で働いてくれる営業マンみたいなものだ。

さて、この会社ではある問題があった。

何が問題だったのか・・・

なんと、引合通知のメールを誰も確認していなかったのだ!

ある日、ある社員が「もしかして誰も専用アドレスのチェックをしていないのでは」と気づき、

システム管理者に専用アドレスに届いたメールの確認方法を聞いて、メールチェックし、発覚したのだ。

そこには数年間の受信メールがたまっており、大半はSPAMメールだったが、

数は少ないものの、問合わせのメールもあったという。

当然それらは放置状態だったわけだ。

どうやら、専用メール確認担当者の退職の際に、引き継ぎがなされずにそのような状態になってしまったらしい。

また、メール確認をちゃんとやっていたときも、滅多に引合があったわけではないので、メールの確認がなされなくなっても誰も気づかなかった。

これでは、以前ここで紹介した、資料請求を放置した会社と同じで、わざわざ信用を落とすような行為だ。

「メールの確認忘れ」という事象のみを見ると、”引き継ぎがよくない”ということなのだが、

Webサイトのマネジメントの観点からすると

 Webサイトからの引き合いについて、その後受注できたのか?金額はどれくらいなのか?

 という情報を得て、効果検証をしていなかった

ことも問題だと言える。

より引合をいただけるようにするためのPDCAサイクルを回すには、これが必要だからだ。

もしこのケースでも、このようなマネジメントをしていれば

「引合いがあったのにフォローされていない」ことにすぐに気付いたはずだ。

引合いの確実なフォローはもちろんのこと、Webからの引き合い獲得強化のPDCAサイクルをしっかりと回していこう。

「しあわせ企業づくり」のシステム屋、ハートビートシステムズ