筆者がコンサルティングをしていた会社ではないのだが、このようなことがあった。
3つの営業所を持つある会社が、新たに営業所を開設した。
大都市とは言えないが、人口約20万人。その業種にとっては魅力的なマーケットだ。
結果的にその営業所は2年ほどで閉めてしまうのだが、営業所開設自体は正しい判断だったと思う。
では何が悪くて営業所の閉鎖につながってしまったのか。
その会社では以下のような方針(計画)で、新規営業所を開設していた。
まずは、営業所の社員は1名だけ配置し、
利益が出るようになったら人を増やす
ところが、1年半経過しても利益が出ず、その営業所長はいつも叱責され、疲弊しているという。
筆者は、方針に無理がありすぎだと直感し、その場で数字をはじいて見せた。
営業所の月間固定費が●●●万円
その固定費をカバーして収支トントンにするには、限界利益率が●●%なので、●●●●万円の売上が必要。
ちなみに、わが社のトップ営業は、月間売上●●●●万円程度
つまり、その営業所は
所長が1人で、トップ営業の2倍の受注をしないと黒字化できない
ということですよ。しかも営業活動だけでなく事務作業もしながら。
つまり、上記の方針をスポーツに例えるならば
とりあえず5人でサッカーチームを立ち上げろ、
勝てるようになったら選手を増やしてやる
と言っているのと同じなのである。
5人じゃ11人のチームに勝てっこないから、いつまでも5人のまま。5人のままだから勝てない。
↓
1人じゃ黒字化できっこないから、いつまでも1人のまま、1人のままだから勝てない
営業所開設に限った話だけでなく、新しいことを始めるにあたり、
まずはテスト的に少ない資源を投入して、うまくいったら、さらに資源を投入する
という考え方は間違ってはいない。
しかし、やり方を間違えると、
本当はうまくいったかもしれないのに、自滅してしまうこともあるのだ。