戦線#6 5人でサッカーチームを立ち上げろ、勝てるようになったら選手を増やしてやる

筆者がコンサルティングをしていた会社ではないのだが、このようなことがあった。

3つの営業所を持つある会社が、新たに営業所を開設した。

大都市とは言えないが、人口約20万人。その業種にとっては魅力的なマーケットだ。

結果的にその営業所は2年ほどで閉めてしまうのだが、営業所開設自体は正しい判断だったと思う。

では何が悪くて営業所の閉鎖につながってしまったのか。

その会社では以下のような方針(計画)で、新規営業所を開設していた。

 まずは、営業所の社員は1名だけ配置し、
 利益が出るようになったら人を増やす

ところが、1年半経過しても利益が出ず、その営業所長はいつも叱責され、疲弊しているという。

筆者は、方針に無理がありすぎだと直感し、その場で数字をはじいて見せた。

 営業所の月間固定費が●●●万円

 その固定費をカバーして収支トントンにするには、限界利益率が●●%なので、●●●●万円の売上が必要。

 ちなみに、わが社のトップ営業は、月間売上●●●●万円程度

 つまり、その営業所は

  所長が1人で、トップ営業の2倍の受注をしないと黒字化できない

 ということですよ。しかも営業活動だけでなく事務作業もしながら。

つまり、上記の方針をスポーツに例えるならば

  とりあえず5人でサッカーチームを立ち上げろ、
 勝てるようになったら選手を増やしてやる


と言っているのと同じなのである。

  5人じゃ11人のチームに勝てっこないから、いつまでも5人のまま。5人のままだから勝てない。

    ↓

  1人じゃ黒字化できっこないから、いつまでも1人のまま、1人のままだから勝てない

営業所開設に限った話だけでなく、新しいことを始めるにあたり、

 まずはテスト的に少ない資源を投入して、うまくいったら、さらに資源を投入する

という考え方は間違ってはいない。

しかし、やり方を間違えると、

本当はうまくいったかもしれないのに、自滅してしまうこともあるのだ。

「しあわせ企業づくり」のシステム屋、ハートビートシステムズ