戦線#24 嘘ばかりの営業報告

ある産業機器商社での話。

その会社ではSFAはないものの、紙の営業報告書があった。

そこには、実際には訪問していないのに訪問したことになっている営業報告が満載だった。

それを知らないのは社長と専務だけ。

営業部長も虚偽の営業報告を認めており、言ってみれば営業部門全体でせっせと経営陣に虚偽報告をしている状態だった。

なぜそんな状態になってしまったのか。

 役員が営業部門に対し、多数の会議、勉強会を設けて、営業活動できる時間を大きく削ったにもかかわらず、
営業活動(訪問回数)が少ないと、一方的に激しく叱責していた

もちろん、多数の会議、勉強会をつくることとなった理由はあるのだが、ここでは触れないでおく。

ちなみに役員2名は営業経験がなかった。

会議、勉強会はムダなもの、あるいは会合そのものはムダではないが、時間がムダに長いものが多かったが、ここではそれらは必要だったものとしよう。

また、営業プロセスの目標をコミットし、達成できなければ叱責されるのも当たり前といえば当たり前である。

(売上目標は運・不運もあるが、訪問件数に運・不運はない)

では、何がまずいのか? 絶対にできっこない営業プロセス目標を強引にコミットさせたことがまずいのである。

あくまでこれは断片であって、

 営業部門のメンバーからみると、様々な理不尽が重なり、自分達の意に反する指示が降りてきても、
 反論するのもバカバカしい。虚偽の報告をしておけばいいだろう

というムードができあがってしまっていることが大きな問題なのだが。

営業に限らず目標設定には妥当性が大事だが、営業プロセス目標を設定する場合は「時間のリソースから見た妥当性」がとても重要になる。

「1ヶ月は約20営業日。うち1日分は会議その他で営業活動できないとして、19日。
 1日8時間のうち、営業活動ができるのは7時間として・・・だから月の目標は●件だ」

という具合である。

「売上目標が前年比10%増だから、訪問件数も10%増ね」ではおかしな話だ。

また、会議、勉強会をやたら増やしたがる経営者をチラホラお見かけする。

会議、勉強会が悪いとは思わないが、決して安易に増やすものではない。

たとえば、営業部門で月1回半日の勉強会を開催することとなったとしよう。

月1回半日と言えば、時間リソースの2.5%にあたる。

つまり、売上予算を減らす必要はないが、その勉強会を開催するには売上2.5%減の可能性を覚悟するくらいの気持ちで開催すべきだ。

何かに時間という資源を投入しようとすれば、別の時間が削られてしまう。

お金や設備、人財だけでなく「時間」も経営資源ととらえてマネジメントしていかなければならない。

「しあわせ企業づくり」のシステム屋、ハートビートシステムズ