前回、坂井三郎氏の著作を発端に記事を書いたが、今回も氏の著作から。
前回も書いた通り、坂井三郎氏は太平洋戦争時代の零戦パイロットである。
氏の著作「大空に訊け ~戦いに勝つための至言集~」によると、
空戦から基地に帰る際、弾丸を常に1割ほど残しておき、
万が一途中で敵機に遭遇した場合にも戦闘できるよう備えていたそうな。
さて、以前筆者がコンサルタントとして、ある会社の営業担当に1日同行したとき、
このエピソードが教訓になることがあたったので紹介しよう。
その会社はルートの御用聞き営業が中心で、「時間が余ったら新規開拓活動をする」ということになっていた。
ひととおりその日に訪問すべきお客様には訪問し、時刻は15時。
筆者は同行していた営業担当に
「それでは、まだ陽も高いし、何軒か飛び込みやりながら帰社しましょう」
と提案すると、その営業担当は
「いや・・・あの・・・会社案内とか持っていません」
とのこと。
「それじゃ、ハナから飛び込みやる気がないってことじゃないですか!!!」
ともかく、何の「武器」もないので、そのまま会社に戻ることに。
このケースでは、
武器(営業ツール)がないために、飛び込みの新規開拓活動ができなかった
ということだが、他にも営業ツールの不備によりチャンスロスになってしまうこともあるだろう。
筆者にも恥ずかしながら
「しまった!今日あのパンフレットも持ってきていれば・・・」
ということが何度もあった。
特に商社などでは取扱い商品が多く、全ての商品案内を持ち歩くのは現実的でないが、
主力商品の案内などは数部でいいので余分に持ち歩く必要はあるだろう。
ここで紹介したケースでは、彼は御用聞きしかやる気がなく、商品案内はひとつも持たず、
注文を書きとめるノートしか持っていなかった。
それではチャンスロスどころか、「やる気」の問題なのだが・・・。